長年歯周病に悩まれてきた50代女性の田中さん(仮名)。
これまで通院した5軒の歯科医院では歯周病の診断を受けても、抜本的な治療は行われず、口元のコンプレックスを抱えておられました。
当院にて非外科療法と外科療法を組み合わせた結果、歯周ポケットの改善、歯槽骨の再生が認められ、歯ぐきの状態も安定。ブラッシング習慣が身についたことで、お口の健康とともに気持ちも前向きになられました。
その後のお仕事や生活でも活力を取り戻され、「人生が好転した」と実感されています。
※効果には個人差があります
令和4年来院
主訴
「他院で歯周病の治療を受けていたが上手くいかない。現在残っている歯を全て抜歯し、インプラントにするか入れ歯にした方が良いと言われた。抜かずに治す方法はないのでしょうか?」
当院、来院までの経緯
令和元年ごろ、左下の奥歯が腫れてきたため、近くのA歯科を受診。
歯周病が進行していて、重度と診断され、抜歯をした。抜歯後は骨がないのでインプラントはできないと言われて、義歯を提案された。
入れ歯にはしたくないため、その後隣の市のB歯科へ転院。左下は人工骨を入れ、骨造成を行いインプラントを入れた。また上下の前歯が揺れていたため歯を固定するために、矯正治療を行った。さらに重度の歯周病の歯は自費で歯周病の手術を行った。しばらく落ち着いていたが、上の前歯に痛みが出てきて、お口全体の歯周病の状態が一気に悪化したような感じを覚えたため転院。
今度は少し離れた市のC歯科へ歯周病の治療で相談に行った。そこでは歯周病は治らないので、抜歯してインプラントを入れるように提案された。
歯周病を治せる歯医者はないかとネットで調べて、近隣の市のD歯科へ相談に行った。歯周病の状態が重度なので、全ての歯を抜いて総入れ歯にするか全てインプラントにすると言われた。
そこでさらにネットで調べてあおば歯科クリニックを受診。
初診時 歯周ポケット
・12㎜以上が1本(右下7番)
・10㎜が2本(左上6、7番)
・6~9㎜が12本
・4~5㎜が7本

お口を拝見すると、歯の動揺を抑えるために、T-Fix(固定)がしてありました。それでもほぼすべての歯に動揺があります。特に右上の奥歯は動揺度が3度であります。3度というのは横方向だけではなく、縦方向にも動くということです。つまり咬むと歯が沈んでしまう状態です。これでは食事ができません。
歯周ポケットの目安は4㎜で歯周病の始まり、6㎜で重症、10㎜は末期症状なので抜歯です。
それを頭に入れて数値を見ると、どこの歯医者さんに行っても抜歯と言われても仕方ないくらい重症です。

・6㎜以上の歯に赤のマーカー、4mm以上の歯に黄色のマーカーを塗りました。重度の歯周病という事が改めてよくわかります。
・右下の奥歯は数字の8が横向きになっています。当院で使用しているプローブは最大12㎜まで測定できる目盛りがついています。この右下の奥歯は12㎜以上の深さだったため無限大の∞のマークを記入しています。
・この歯周ポケットの数値を参考にしてレントゲン写真、特にCTを読影して、骨欠損の状態を把握していきます。垂直性の骨欠損があれば、その骨欠損が何壁性の骨欠損なのか診断します。もし3壁性の骨欠損であれば原則骨は再生します。2壁性の骨欠損であっても骨が再生する可能性があります。それを詳細に検討していきます。
・歯周ポケットを参考にしてCT診断を行いました。右上7番は骨の支持がほぼない状態、左上6番は口蓋根が宙に浮いている(骨の支持が全くない)状態、左上7番は近心頬側根と口蓋根が宙に浮いている状態、右下7番は遠心から舌側にかけて根尖付近まで骨吸収している状態 でした。
・左上6番と7番は抜けている歯根は抜歯して、残った歯根を保存する、左下7番はポケットは深いが3壁性の骨欠損のため再生療法で対処、右上7番は抜歯という診断を行いました。
オルソパントモとCT(3D)画像の情報量の違い


横方向から見ただけでは骨が溶けている状態がよく分かりません
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上から見ると赤線で囲んでいる黒い部分が分かります。黄色線を引いた部分が歯槽骨が溶けてしまっています。CT撮影なので見える部分です。
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縦方向から見るとこちらも赤線で囲んでいる黒い部分が分かります。黄色線を引いた部分が歯槽骨が溶けてしまっています。これもCT撮影なので見える部分です。
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この赤線で囲んだ部分は2壁性から3壁性の骨欠損の可能性が高いので再生療法が可能です。このような診断を歯周ポケットの数値とCT画像を照らし合わせながら行っていきます。そして歯槽骨を再生できる部分があれば積極的に再生療法を行って行きます。
非外科療法 2週間後 歯周ポケット

・非外科療法を行って2週間後の歯周ポケットです。分かりにくいので6㎜以上赤マーカー、4mm以上黄色マーカーで塗ってみました。

・初診時と比べてください。6㎜以上の歯周ポケットが激減しているのが分かります。
・この後一番重症と思われる右上の大臼歯部から外科療法を開始しました。フラップを起こしたところ、一番奥の7番はCTの読影通り、ほぼ根尖まで骨の支持がありませんでした。残念でしたが7番は抜歯しました。6番は水平性の骨吸収でしたので、apically positioned flap operation で対応しました。
・左上6,7番は抜けている歯根があったのでルートリゼクションを行う前提で、オペ前に抜髄を行いました。フラップを起こしたところ、事前のCT診断通りでしたので、6番は口蓋根、7番は近心頬側根と口蓋根をルートリゼクションし、その他の歯根を保存できるようにオペを行いました。
・左上、右上に関しては骨再生できるような骨欠損形態ではありませんでした。右下の臼歯部は骨欠損がほぼ3壁性でした。ですから右下奥歯は骨再生療法を適用することが可能でした。
手術前

骨欠損を明示

人工骨等を填入

・左下に続いて、上顎前歯もオペを行いました。
・一見何ともないように見えますが、右上2番近心、左上2番遠心に垂直性の骨欠損があります。

・赤丸の部分が垂直性の骨欠損です。グリーンはEDTAという薬剤です。骨再生を補助する薬です。


垂直性の骨欠損部に骨再生療法を行います

外科療法 7か月後 歯周ポケット

右下6,7番に4㎜ポケットが残存している他は正常値に回復。

ここで実際のお口の変化を見てみましょう。
治療前、補綴治療後の比較
初診時
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補綴治療後
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初診で来院されたときは歯が上手くかみ合っていなかったのが、治っています。きれいになりました。
治療前、補綴治療後の比較
初診時

補綴治療後

専門家でないと分かりにくいですが、明らかに歯槽骨の状態が良くなっています。歯槽硬線、いわゆる白線が明瞭になっているのがよくわかります。
再生療法を行った箇所の比較
3か所とも骨が再生している
治療前
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オペ後
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メンテナンス 治療開始から1年10か月 歯周ポケット

メンテナンス 治療開始から2年 歯周ポケット

右下はご本人のブラッシングの効果があり、改善。左上のルートリゼクションを行っている箇所はなかなかブラッシングが難しい。指導を継続しています。
メンテナンス 治療開始から3年後 歯周ポケット

このままの状態を継続していきましょう。
治療後の田中さんのお話し
「40代半ばから、奥の歯ぐきが腫れるようになったり、上の歯が揺れるようになったりしていました。あちこちの歯医者さんに行って相談しました。どこの歯医者さんも抜いてインプラントか入れ歯だけでした。上の歯は矯正まで行い、自費で歯周病の手術もしましたが結果は芳しくありませんでした。きちんとした歯周病の治療の提案がなく、諦めかけていました。今では歯並びもきれいになって、腫れることもなくなりました。私の歯はどうなってしまうのだろうという不安からようやく解放されました。」
担当医からの一言
当院に来院されるまでに、4軒から5軒ほどの歯科医院を受診されていました。中には自費で歯周病治療された医院もあったようです。ですがおおむね抜いてインプラントと言われてしまい、最後に当院を頼っていらしたわけです。ですから、最初は本当に治るのかという不安が非常に強かったと思います。そんな状況でも担当医の私を信頼してくださり、下の前歯以外は再生療法を行い、良い結果が出て私もうれしいです。
今後は、この状態を田中さんと一緒に二人三脚で維持していきたいです。

















