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遠方からの重度歯周病症例

他府県から通院された斎藤さん(仮名)

地元の歯科医院で抜歯を宣告された60代女性。紹介を受けて当院に来院され、精査の結果、外科的歯周治療が必要と判断しました。数日間の滞在スケジュールを組み、複数回にわたり外科処置を実施。
歯周組織の再生が得られ、抜歯せずに残すことができました。
現在も3か月ごとのメンテナンスで通院を続けられ、6年以上良好な状態を維持されています。
                       ※効果には個人差があります

平成31年来院 女性 62歳 主婦

主訴

「右下の歯ぐきが腫れている。地元の歯医者では歯周病の治療法はないと言われて、ただ「クリーニング」を繰り返す不安な日々を過ごしている。知り合いから紹介されてきたが、私の歯周病は治るのでしょうか?」

当院、来院までの経緯

地元の歯科医院に定期的に通院していました。

ある着、右下の歯茎が腫れてきました。かかりつけの歯科医に「歯周病の治療法はありません。定期的にクリーニングをして、今ある歯を延命させるだけです。」と言われました。仕方なく、現状もわからないまま、不安な気持ちでクリーニングを繰り返していました。

具体的な治療もしてもらえず、ただクリーニングを繰り返す不安ない日々を過ごしている中、知り合いから紹介され、藁をもつかむ気持ちで遠方から来院。

治療方針

地元の歯医者でご自身の歯周病の現状について全く説明を受けていませんでした。それが患者さんの不安をさらに強くしていました。まず、歯周病について詳しく説明しました。何が原因で歯周病になるのか、どうすれば治せるのか。この2大テーマを詳細に説明し、理解していただきました。
 
 歯周病はプラックコントロールの始まり、プラックコントロールに終わると言われるほど、厳密なプラックコントロールが必要です。そのためには患者さんと二人三脚で治療に当たらないといけません。

 幸い、この方は歯周病を必ず治すという強い決意のもと、遠方から来院していました。ですから、制限の多い保険診療ではなく自費診療で治すこととなりました。

また、遠方からの来院なのでスケジュールを上手に組む必要がありました。ですから非外科療法から開始して、外科療法、歯周補綴まで、できるだけ集中して最短でスケジュールを組みました。

治療経過

初診時 歯周ポケット

・12mmが1本

・8~11mmが11本

・6~7mmが5本

・4~5mmが11本

 

お口を拝見すると、一見きれいな歯ぐきに見えます。ですが、歯周ポケットをプローブで触るとほぼすべての辺縁歯肉から出血がありました。

歯周ポケットの目安は4㎜で歯周病の始まり、6㎜で重症、10㎜は末期症状なので抜歯です。

それを理解してこの方の数値を見ると、重度の歯周病だと分かります。「歯周病は治らない。」と言いたくもなるくらい重症です。しかしたとえ治る見込みが少しでもあれば患者さんに真摯に向き合い、治す努力をするのが医師です。歯科衛生士にクリーニングだけを行わせるのは、「座して死を待つ」だけです。

・6㎜以上の歯に赤のマーカー、4mm以上の歯に黄色のマーカーを塗りました。重度の歯周病という事が改めてよくわかります。


・この歯周ポケットの数値を参考にしてレントゲン写真、特にCTを読影して、骨欠損の状態を把握していきます。垂直性の骨欠損があれば、その骨欠損が何壁性の骨欠損なのか診断します。もし3壁性の骨欠損であれば原則骨は再生します。2壁性の骨欠損であっても骨が再生する可能性があります。それを詳細に検討していきます。

・歯周ポケットを参考にしてCT診断を行いました。

・通院に3時間ほどかかる斎藤さんはすぐに非外科療法のペリオドンタルデブライドメントを行いました。そしてCT診断で再生療法が可能な骨欠損部位、及び外科療法を行わなければ治癒しない箇所の手術を行いました。

 

治療前、歯周補綴前の比較

初診時

歯周補綴前

専門家でないと分かりにくいです。治療前と後で明らかに歯槽骨の明瞭さが改善しています。

 

治療前、歯周補綴前の比較

初診時

歯周補綴前

 

専門家でないと分かりにくいですが、明らかに歯槽骨が再生しているのが分かります。特に赤丸で囲んだ歯槽骨は著名な回復をしています。

一番の主訴であった右下の歯槽骨の状態をCT画像で検証します。

 

 

上の画像を個々に解説します。

赤丸と黄色で示した部分の歯槽骨が吸収しています(黒くなっているところが骨が溶けている部分です)

 

上から見てみましょう。

遠心部分の歯槽骨が吸収しています。

 

実際の手術の写真を確認しましょう。

黄色で囲った部分の骨が溶けているのが分かります。

 

横から見ます。

舌側(ぜっそく)(内側)の歯槽骨が吸収しています。

 

実際の手術時の写真を見てみましょう。

黄色で囲んだ部分に垂直性の骨欠損が確認できます。

これらのCT画像の情報から骨欠損の状態は2壁性骨欠損であることが分かります。2壁性の骨欠損であれば人工骨、メンブレン等を駆使すれば骨の再生が期待できます。

 

外科療法後のCT写真と比較してみましょう。

遠心、舌側、頬側と明らかに歯槽骨が再生しています。

 

 

術前と術後を比較しましょう。

 

歯槽骨が再生しているのがよくわかります。

 

外科療法1か月後の歯周ポケット

 

来院された日に、歯周病を詳細に説明し、納得されたので、非外科療法をすぐに開始しました。その後、一番腫れていた右下をすぐに再生療法を行い、8月には全顎の外科療法が終了しました。外科療法を行って1か月後の歯周ポケットです。4mm以上黄色マーカーで塗ってみました。赤色がなくなりました。

令和2年のメンテナンス時の歯周ポケットです。ブラッシングの効果もあり、炎症はすっかり収まっています。

令和3年、メンテナンスにいらしたときの歯周ポケットです。アドバイス通りしっかり夜のブラッシング時間を確保してくださっています。これなら3か月に1度のペースでも安心です。
 
そのことをお伝えしましたが、現在も1か月に一度のペースでメンテナンスに来院しています。来院までに3時間ほどかかりますが、もうあのひどい歯周病の状態に絶対に戻りたくないお気持ちなのでしょう。

 

令和7年メンテナンス時の歯周ポケットです。右上に2か所4mmの歯周ポケットがあります。重症化する前に早期に対応しないといけないです。歯周病は再発しやすい病気です。患者さんのプラックコントロールが上手くいっていないと再発するのです。そのためにメンテナンスがあります。

治療後の斎藤さんのお話し

「歯周病は治らない」と地元の歯科医師に言われていました。ですが、こちらの担当医に「治ります。」と言われて、希望の灯がともり、そして本当に治りました。もう二度と歯周病には戻りたくないので、これからもメンテナンスにしっかり通います。ありがとうございました。

 

担当医から一言

歯周病をうちで治した患者さんからの紹介でしたので、最初から信頼してくださり、治療が非常に早く進んだのが良かったですね。来院した次の回にはペリオドンタルデブライドメント(非外科療法)を行い、残った深い歯周ポケットに対して外科療法を行いました。その後歯周補綴を行い、完治まで1年と半年でした。

治って本当に良かったですね。